サウジアラビアと聞くと、多くの人が石油を思い浮かべると思います。産油国という言葉と結びついたイメージが定着しています。
ただ、その国で循環型経済への取組が進められていると聞くと、少し意外に感じられるかもしれません。資源が豊富な国と、資源を循環させる仕組み。一見すると結びつきにくい組み合わせです。
環境分野の政策が動くということは、そこに関連する技術やサービスの需要が生まれる可能性があるということでもあります。
この記事では、2026年9月に開催されるイベントを入口に、海外の環境政策とビジネスの関係を見ていきます。
2026年9月9日に東京でマッチングイベント
JETROが、サウジアラビアの循環型経済移行に向けたイベントを2026年9月9日に東京で開催すると案内しています。
形式としてマッチングという言葉が使われている点に注目したいところです。
これは、情報を聞くだけの場ではなく、つながりを作ることを目的とした形式だということを意味します。政策の説明を受けるだけでなく、実際に関わる可能性のある相手と接点を持つ機会になります。
また、循環型経済移行という表現も重要です。移行という言葉が使われているということは、これから変わっていく過程にあるということです。
すでに仕組みが完成している市場より、これから作られていく市場のほうが、関わる余地が大きい場合があります。何が必要とされているかがまだ定まっていない段階だからです。
環境分野に技術やサービスを持つ企業にとっては、こうしたタイミングの情報を知っておく価値があります。
循環型経済とは
循環型経済という言葉が指す内容を整理します。関わる要素として、次のようなものが挙げられます。
- 廃棄
- 再利用
- 修理
- リサイクル
- 資源効率
廃棄は、出発点となる問題です。何をどれだけ捨てているのか。その把握から取組が始まります。
再利用は、そのまま使い続けるという考え方です。捨てずに別の用途で使う、他の人が使う。形を変えずに活用する方法になります。
修理は、直して使う選択肢です。壊れたら買い替えるのではなく、直せる仕組みがあるかどうか。この部分が機能すると、廃棄の量が変わってきます。
リサイクルは、素材の段階に戻して使う方法です。製品としては終わっても、材料として再び使われます。
資源効率は、全体を通じた考え方です。同じことをするのに、どれだけの資源を使うか。使用量そのものを減らす視点になります。
これらは段階の異なる対応です。捨てないで済む方法から、捨てた後にどうするかまで、幅があります。どこに関われるかは、企業の持つ技術やサービスによって変わります。
関連するビジネス
循環型経済に関わるビジネスの領域としては、次のようなものがあります。
- 廃棄物処理
- 水
- リサイクル
- デジタル管理
- エネルギー
廃棄物処理は、直接的に関わる分野です。集める、分ける、処理する。それぞれの段階に技術と仕組みが必要になります。
水に関わる分野も含まれます。水の処理、再利用、効率的な使用。地域の条件によって重要度が変わる領域です。
リサイクルは、素材ごとに技術が異なります。何を対象とするかで、必要な設備も方法も変わってきます。
デジタル管理が挙げられている点は、注目に値します。何がどこにどれだけあるかを把握し、流れを管理する。この部分には情報技術が関わります。物理的な処理だけでなく、管理の仕組みも必要だということです。
エネルギーの分野も関連します。処理の過程でエネルギーを使うこと、廃棄物からエネルギーを得ること。両方の側面があります。
この幅の広さを見ると、環境ビジネスといっても関わり方が多様であることが分かります。自社の技術がどこに当てはまるかを考える材料になります。
海外市場では制度確認が必要
海外で事業を行う場合、確認が必要な要素があります。
- 法規制
- 現地パートナー
- 契約
- 許認可
法規制は、その国のルールです。環境分野では特に、何をしてよくて何がだめかが制度で定められています。日本での基準がそのまま当てはまるとは限りません。
現地パートナーの存在は、多くの場合で重要になります。現地の事情を知り、必要な手続きに通じている相手がいるかどうかで、進み方が変わります。
契約の内容は、慎重に確認する必要があります。どこまでの責任を負うのか、何が対価になるのか、問題が起きたときにどうするのか。前提となる商習慣が異なる場合もあります。
許認可については、必要な手続きを事前に把握しておくことになります。取得に時間がかかるものであれば、計画に織り込む必要があります。
これらは、技術やサービスの内容とは別の領域です。良いものを持っていても、この部分でつまずけば事業になりません。
だからこそ、支援機関の情報や相談窓口を活用することが実務的な選択になります。
日本の技術をそのまま持ち込まない
最後に、進め方についての考え方です。合わせる必要がある要素として、次の三つが挙げられます。
- 気候
- コスト
- 現地ニーズ
気候の違いは、技術が機能するかどうかに直結します。温度、湿度、日射、風。日本の環境を前提に設計されたものが、別の条件下で同じように動くとは限りません。
コストの感覚も異なります。何にいくら払えるかは、その市場の状況によって変わります。高性能でも価格が合わなければ選ばれません。
現地ニーズは、最も重要な要素です。何が求められているのかは、こちらが決めることではありません。相手の課題に合っているかどうかが、すべての前提になります。
日本で評価されている技術が、そのまま海外でも評価されるとは限りません。むしろ、求められていることが違う場合が多くあります。
調整するという前提を持って臨むこと。それが、こうした市場に関わるうえでの基本姿勢になります。
環境分野で海外に関心があるなら、まずは自社の技術がどの領域に当てはまるかを整理してみてください。
