導入

映画って、ただストーリーを追うだけでも十分面白いです。

でも、映像の細部にはもっと多くの情報が込められています。

この記事では、現役の映画プロデューサーの視点をもとに、映画をより深く楽しむための「見る視点」を紹介します。

ストーリーを追うだけの鑑賞とは少し違う、映像そのものへの注目の仕方です。

映画のシーンや演出には、それぞれ意味が込められています。この記事では、そこに注目するためのポイントを整理していきます。

映画を観るときは「すべてのシーン」に注目する

映画は、完成版よりも長めに撮影されています。

そこから、編集の過程で不要な部分が削られていき、今の形になっています。

つまり、完成した映画に映っているシーンは、すべて残す判断がされたものだということです。

だからこそ、ひとつひとつのシーンに注目して観るという意識が大事になってきます。

そのためには、鑑賞中の集中を妨げないことも必要です。たとえば、携帯電話をオフにしておくのもひとつの方法です。

作品を途中で流し見せず、集中して観る。単純なことですが、これが細部に気づくための土台になります。

映画を深く楽しむための4つの視点

ここからは、具体的にどこへ注目すればいいのかを整理していきます。

ひとつ目は、衣装の色です。登場人物の心情や変化が、衣装の色を通して表現されていることがあります。

ふたつ目は、登場人物が移動する方向です。誰がどちらに動くかによって、人物同士の関係や役割が示されていることがあります。

三つ目は、登場人物それぞれの役割です。物語の中でその人物がどんな機能を持っているのかを意識してみます。

四つ目は、セリフや行動の裏にあるメッセージです。表面的な言葉だけでなく、その奥にある意図に目を向けてみます。

具体例から見る「演出の意味」

先ほどの4つの視点を、もう少し具体的に見ていきます。

衣装の色については、たとえば登場人物の心情の変化を、衣装の色の変化として表現する例があります。

移動方向については、主人公と敵役で移動する方向を意図的に分ける演出があります。

具体的には、強盗と家主が動く方向が左右で分かれているシーンなどが、その例として挙げられます。

登場人物の役割については、たとえば主人公の過去のトラウマを代弁するような人物が配置されている場合があります。

そして、セリフや行動については、その言葉や動きが、作品全体として何を伝えようとしているのかを考えてみる視点です。

これらの見方をするときの注意点

ここまで紹介してきた見方には、いくつか注意しておきたい点があります。

まず、衣装の色や人物の移動方向といった演出が、すべての映画に同じ形で当てはまるわけではありません。

特に、海外の賞を受賞するような作品や、名作と呼ばれる作品に見られやすい特徴として紹介しているものです。

また、作品ごとの具体的なネタバレは避けながら、演出そのものに注目するという形で書いています。

ちなみに、この記事の内容のもとになっているのは、現役プロデューサーとして25年の業界経験を持つ小柳智則氏の視点です。

まとめ

映画は、ストーリーだけでなく、映像の細部にも多くの情報が込められています。

衣装の色、人物の動き、登場人物の役割。こうした部分に目を向けてみると、いつもとは違う映画の楽しみ方ができると思います。

セリフや行動の裏にあるメッセージを考えてみるのも、作品への理解を深めるひとつの方法です。

映画制作の背景を少し知っておくだけで、作品を見る視点は確実に増えていきます。